セレナは、広い室内空間が特徴のMサイズミニバンです。
サードシートまで備え、その乗車人数は最大7人~8人まで可能となっていますが、固定されているセカンドシートの取り外しは可能なのでしょうか。
また、もし可能だとして、車検や法律の問題はクリアできるのでしょうか。
そのあたり問題なければ、セレナのユーティリティはさらにアップするだけに、選択肢の一つとして知りたいですよね。
というわけで、今回はセレナのセカンドシートは取り外しが可能なのか、それによる車検への影響や法律の考え方について解説していきます!
セレナのセカンドシートの取り外しは可能?
引用:https://www3.nissan.co.jp/vehicles/new/serena/function.html
そもそも、セレナのセカンドシートの取り外しというのは可能なのでしょうか。
その答えは、取り外し可能です。
セレナに限った話ではないのですが、車のシートというのは、基本的にボルトで固定されています。
そのため、そのボルトを取り外せば、シートの取り外しは可能なのです。
詳しい方法は後程説明します。
セレナのセカンドシートの取り外しで乗車定員の変更手続きが必要?法律は?
セレナのセカンドシートの取り外しは可能ということですが、次に気になるポイントがシート取り外しに伴う手続き等が必要か、法律上はどうなっているのかですよね。
それぞれ確認していきましょう。
セレナのセカンドシート取り外しのポイント① 乗車定員の変更手続き
セカンドシートを取り外すと、当然シート数がその分減りますよね。
つまり、乗車可能な人数が減少するということです。
そんな時に必要なのが、「構造変更申請」の中の「乗車定員変更手続き」です。
なぜなら、車検証に記載されている乗車定員が変更になるからです。
その手続きは陸運局で行います。
おおまかな流れを見ていきましょう。
乗車定員変更手続きの流れ① 各書類を準備する
申請には、以下ののような各書類が必要になります。
- 自動車検査証(=車検証のこと)
- 自賠責保険証
- 定期点検記録簿
- 自動車検査票
- 自動車税納税証明書
- 自動車重量税納付書
- OCRシート第1号様式(記入に際し印鑑も必要)
- 委任状(車の所有者以外が申請する場合)
定期点検記録簿というのは、12か月点検の記録です。
そのため、構造変更申請をされる方は必ずディーラーで12か月点検を受けましょう。
自動車税、重量税の納付書が手元にない場合、陸運局でもらうことも可能なので、実際に行って担当者の方に聞いてみると親切に教えてくれます。
乗車定員変更手続きの流れ② 車検を受ける
乗車定員変更手続きには、たとえ本来の車検の時期がまだ先でも必ず車検を通さなければいけません。
それによってはじめてそれ以降の手続きに進めます。
車検の検査項目は、ざっと以下の通りです。
- サイドスリップの測定
- スピードメーター検査
- ヘッドライト検査
- ブレーキ検査
- 排ガスチェック
- 下回り検査
これらをチェック後、総合判定がなされます。
乗車定員変更手続きの流れ③ 諸元測定(重量測定)
シートを取り外すと、当然その分車の重量も減りますよね。
そのため、新たに重量がどれくらいなのかを測定しなければなりません
乗車定員変更手続きの流れ④ 書類を提出、新たな車検証を発行
すべての検査が終わったら、書類を提出します。
少し待つと、構造変更した部分の記載事項が変更された新しい車検証が手に入ります。
これによって、正式に構造変更が認められ、乗車定員変更手続きが完了します。
セレナのセカンドシート取り外しのポイント② 法律
さて、各シートを取り外した場合、法律的にはどのような影響はあるのでしょうか。
日本において、自動車に関する法律というのは、主に以下の2つです。
- 道路運送車両法
- 道路交通法
道路運送車両法とは、自動車の保安基準を定めたものです。
一方、より馴染みがある道路交通法は、速度制限をはじめとした自動車の運行ルールを定めたものになります。
シートの取り外しと道路運送車両法
今回のようなシートの取り外しの規定に関しては、道路運送車両法が関連してきます。
道路運送車両法において、シートに関する基準は昭和50年12月1日から施行されており、固定式と取り外し式が認可対象になりました。
取り外し式というのは、最初から取り外しが想定された脱着可能式のシートを持つ車を指し、三菱 パジェロのロングボディなどがその例として挙げられます。
こういった車は、その前提で型式認定を受けているので、取ったり付けたりしても問題なしです。
シートの取り外しと道路交通法
形式認定を受けているということは、道路交通法上も問題ないので、そのまま走行して大丈夫です。
一方、セレナのような固定式を前提とした車で取り外した場合は、好ましい状態とはいえません。
しかし、実際には、道路交通法にシートを外したら違反という規定はありませんので、グレーゾーンいうところですね。
シート取り外しは不正改造になる?
不正改造とは、自動車又はその部分の改造、装置の取り付け、取り外しその他これらに類似する行為によって保安基準に適合しないものを指します。
つまり、犯罪行為です。
シートの取り外しはもしかして不正改造になるのでは?という心配もあるかもしれませんが、国土交通省が示している不正改造の具体例は、以下のものです。
- 灯火類の色変更
- フロントガラスとフロントサイドガラスへの着色フィルムの貼り付け
- マフラーの切断や取り外し
- フロントガラスへの装飾
- 基準外のエアロパーツの装着
- スピードリミッターの解除
このように、シートの取り外しは不正改造の中に含まれていないため、その点では安心して大丈夫です。
セレナのセカンドシートの取り外した場合、車検は通る?
車で公道をはしるために、定期的に必ず受けなけばならないのが、車検です。
この車検のポイントは、型式認定を受けた状態と同じ仕様になっているかどうかです。
セレナをはじめとする市販車は、必ずこの型式認定を受けています。
先ほどもお伝えした通り、ここでシートに関する項目が固定式か取り外し式かどうかが重要です。
セレナは固定式でしたね。
つまり、固定式のシートで型式認定を受けているにも関わらず、取り外した状態で車検に持って行ってしまうと、仕様に齟齬が生まれてしまいます。
そうなると車検は通りません。
少し整理をすると、取り外した状態で走行することは可能(道路交通法上問題なし)でも、車検は通らないということです。
なので、一時的に取り外すして使うというのは問題ないですが、車検時には元の状態に戻しておく必要があります。
もし、常にセカンドシートを外しておきたいという方は、先ほどご紹介した「構造変更申請」で「乗車定員変更手続き」を行って、公認改造車として車検が通る状態にしなければなりませんね。
セレナのセカンドシートの取り外し方は?
では、実際にセレナのセカンドシートを外すにはどうしたら良いのでしょうか。
上にあげている動画は、現行のセレナのサードシートの取り外し方なのですが、基本的な考え方は一緒です。
まず、シート下部に覆いかぶさっているプラスチックのカバーを取り外します。
そうすると、シートレールにボルトでシートが固定されていますから、それに合う工具を利用して外していくだけです。
ここで注意して欲しいのが、無理な力でやろうとせず、慌てずに丁寧にやっていくこと。
また、取り外したパーツやボルトの場所を正確に覚えておくことと、失くさないことです。
元に戻せなくなったら最悪ですからね。
セレナのセカンドシートの取り外しは自己責任で!戻すのは大変?
このように、セレナのセカンドシートは取り外しは可能です。
しかし、あくまで自己責任で行ってください。
これまでもお伝えした通り、セレナはセカンドシートを取り外すことを前提とした車ではありません。
一度取り外して、またたとえ戻したとしても、ボルトがきちんとついていないなど、プロと素人では外見ではわからない違いがあったりします。
シートは安全に直結するところですからね。
また、もし乗車定員変更手続きをした後に、再度シートを取り付ける場合は注意が必要です。
車検証上は5人定員の車になっている場合、シートを付けたとしても7人で乗るのはアウトです。
そのため、もう一度乗車定員変更手続きが必要です。
この場合、定員を減らしたときに比べて大変です。
シート強度やシートベルト強度の証明が必要であり、これをクリアしなければならないからです。
セレナのセカンドシートの取り外し方や車検・法律についてまとめ
今回は、セレナのセカンドシートは取り外し方や車検・法律の観点からの解説を行いました。
正直言うと、取り外しはあまりおすすめできません。
メリット以上にデメリットや手間が多くかかります。
もし大量の荷物を運びたいなら、レンタカーでハイエースのような貨物バンを借りたりする方が合理的です。
ですが、選択肢の一つとして、セレナのセカンドシートの取り外しも可能だということを知っていただければと思います!